フルーツ・ポンチ



 「大正の初めころでしょうか、日本橋のある果物屋のおやじさんが、バナナやリンゴのいたんだものを捨てるのは惜しいと、良いところだけを切り取って蜜やその他をまぜ、フルーツ・ポンチとして売り出したのが大当たり。とくに女性や子供に好まれて今日まですたりません。(以下省略)・・・」(朝日ソノラマ社刊「愛されるベス単」より)

 クラシックカメラの世界では、2台あるいはそれ以上のカメラの部品を寄せ集めて出来上がったカメラのことを俗に「フルーツポンチ」と呼んでいる。
 全く同じカメラの部品を合体したものは修理とみても差し支えないが、別々のカメラや年代の違うカメラの部品を寄せてできたものはフルーツポンチである。「その年代に、あろう筈のないレンズが付いている」場合は一見してフルーツポンチと分かるが、紛らわしいレンズや部品がミックスされたカメラは、資料の乏しいこともあって、後世のカメラ研究家を悩ませることになる。

 「程度のいゝVPKを買ったけど残念ながらフルーツポンチだった・・」、こんな話をよく耳にする。コダックの VPK(ベスト・ポケット・コダック)は大正時代の15年間に180万台以上が作られたといわれる大ベストセラーカメラである。いろいろバリエーションはあっても基本構造は変わらなかったことから、フルーツ・ポンチが作りやすいカメラであり数多く出現しても不思議はない。クラカメにおける「フルーツポンチ」という言葉はこのVPKカメラから発生したらしい。




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