ベッサ II
蛇腹カメラの最終機
戦前のベッサは鉄板プレスのボディであったが、戦後のベッサIIになってダイキャストボディに仕上げられ、大きさ、重さが少し増加した。レンズボードの動きやピント合わせのメカニズムは戦前とは較べものにならないくらい精密に作られている。ベッサIIは常にスーパーイコンタの対抗馬として比較されるカメラである。
レンズはスーパーイコンタのテッサーに対抗してスコパー(3群4枚)が、またフォクトレンダーの誇る高級レンズ、カラーヘリアー(3群5枚)やアポランサー(3群5枚)も惜しげもなく付けられている。写真はアポランサーモデル。
距離計はビューファインダー内の二重像を合わせることで連動する。いわゆる「ひとつ目」である。この二重像の枠のかたちは前期の一部に菱形のものがあったのが後にすべて円形に変わっている。ピント合わせはボディ左のノブで行う。ノブの下の大きなカムによってリンクロッドを動かし、レンズボードを前後させるフォクトレンダー独特のユニークな方式である。この発想はプロミネントや戦前のベッサで完成され、このベッサIIに引き継がれたものである。レンズボードは大変精巧に作られた2本のレールの上に乗っている。レンズボードを前後させるリンクロッドは片側に一本しかなく、これでよくレンズボードを平行に移動させられるものだと感心させられるが、精密に作られたレールがこれを可能にしている。このレールにガタがあるとバックラッシュが発生し細かいピント調整ができなくなるので要注意だ。
レンズボードの動きに関係なくノブの回転が直接距離計に伝えられるため、カメラを折り畳んだ状態でもピントを合わせることができる。
シャッターボタンはボディではなく折り畳みベッドの根本につけられている。ベッドを開くと、ボタンというより爪のようなアームが自動的に出てきて、これを押すとシャッターがリリースされる。操作性は悪くない。カメラ(ベッド)を畳むとこの爪は自動的に引っ込むようになっている。
| ベッサII 仕様 |
| メーカー | 西独 フォクトレンダー製 |
| 製造初年 | 1950年 |
| フィルム | 120ブローニー 6x9cm 蛇腹カメラ |
| ピント合わせ | 一眼式距離計連動
| | レンズ | カラースコパー105mm F3.5(3群4枚) カラーヘリアー105mm F3.5(3群5枚) アポランサー 105mm F4.5(3群5枚) |
| シャッター | シンクロコンパー B、1〜1/500秒 |
| 最小絞り | F22 |
| シンクロ接点 | M、X 全速同調 |
| 撮影最短距離 | 1m(3フィート) |
| フィルム送り | 赤窓式ノブ巻き上げ |
| 大きさ/重さ | 96x166x135mm(撮影時)/ 860g |
【購入のポイント】
カラーヘリアー(3群5枚)付きの人気が高い。アポランサー(3群5枚)付きは製造台数が少なく価格は安くない。カラースコパーはいわゆるテッサータイプ(3群4枚)でテッサーに劣らず鮮鋭だと言われているが上記レンズ付きに較べれば廉価である。この3種類のレンズはいろいろ撮り比べてみたが、普通の撮影では明らかにわかるほどの差は出ない。とすれば価格の安いカラスコパー付きがお買い得ということになる。アクセサリーシュー付きの後期型と付かない前期型があるがシュー付きのものは数が少なく値段も張る。
戦前のベッサもそうであるが、ベッサIIの初期のモデルはフィルム供給側にスプールの軸がなく、両サイドにスチールの板がビスで留めてあるだけである。このため撮影(フィルム)の最後の方でスプールが少し浮き上がってフィルムが巻けなくなってしまうことがある。こうなるともうどうにもならない。無理に巻くとカメラを壊してしまうことにもなり、家に帰って暗箱の中でカメラを開く以外に手が無い。以後の撮影はあきらめるしかない。何台ものサンプルでこれを経験している。後期のモデルはスプール軸が付けられているのでこの現象は発生しない。最近のプラスチック製のスプールはヒンジ(つば)の径が少し小さいのかもしれない。両方のスプールとも軸があることを確認して(巻き取り側には必ず軸受けがあるので)購入することをオススメする。
【使用感】
ボデイは堅牢で仕上げも美しく、各メカ部分は精密に仕上げられていて動きも大変スムーズだ。特に連動距離計とファインダーのメカニズムは他に類を見ないくらい精巧に作られている。6x9cm判105mmのピント合わせはこの程度の精巧さがないと使えない。たゞ105mmレンズにしては有効基線長が短く気になるところだが開放がF3.5ならこの程度でもいゝのかも知れない。実写では全く問題ない。
二重露光防止機構がないので撮影には注意を要する。1カッット撮影したら必ずフィルムを巻いておくといった習慣をつけることが必要だろう。ファインダー像は倍率が高く二重像は小さくて見やすいとは言えない。レンズはすべて一級品、いまなお実用機として使える数少ない6x9cmカメラのひとつである。
【作 例 1】
Bessa II Apo-Lanthar(105mm F4.5) F8 1/250 Sakuracolor SR100
(Apr'87)
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